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研究紹介
位相共役光(時間反転波)と呼ばれる光を用いた無線光エネルギー伝送を研究しています。位相共役光は時間反転波とも呼ばれ,あたかも入射光の時間を巻き戻すように進む特殊な光です。位相共役光発生装置(位相共役鏡)に入射した光は通常の鏡での反射と異なり光が来た方向へ反射され,入射光の光路を正確に逆進して光源に戻ります。したがって,光源が動いていても標的に光が戻り自動的に追尾を行います。この時,空気揺らぎなどの位相物体を通って歪んだ波面は再び位相物体を通ることで歪みが打ち消されるため,光の伝播に伴って波面補正が行われ,自動的に回折限界に近い集光を可能にします。また入射光より強い位相共役光の発生が可能な方法を採用しているためこれらの特徴を利用すると,遠隔移動物体の捕捉・追跡・物体へのレーザー集光を自動的に行うことが出来ます.今までの研究では,下記に記す2つの方法で位相共役光を発生させました。
①レーザー共振器中の利得媒質を用いる方式(2013~2016)
飛翔体に搭載することなどを考慮し,共振器中の利得媒質を位相共役鏡として利用するコンパクトな系をデザインし,位相共役光の発生に成功しました。自動波面歪み補正作用や追跡精度,同時多点集光能力を調べ,移動体からの光による干渉縞コントラストの低下問題をパルス光を用いることで解決しました。
②カメラと空間光変調器を用いたデジタル方式(2016~現在)
①の方式は実時間性に優れていますが,使用する光波同士のエネルギーバランスが位相共役光の発生効率に大きく影響し,利得媒質中の熱による位相共役光の品質低下が問題で汎用性に欠けることが分かりました。そこで,非線形光学結晶の代わりにカメラと,空間光変調器として液晶パネルを用いるデジタル方式の研究を始めました。デジタル方式は,任意の波長で動作させることができ,光増幅が容易でハイパワーオペレーションに向いています。また,装置自体は低コスト&低電力で動作させることが可能であり必要に応じて異波長駆動,画像処理ができ,フレキシビリティが高いのが特徴です。
国際基督教大学岡村研と一緒に研究を進めています。
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